海辺の町から、山の町へ地方移住してから数年が経ちました。
移住前は、別荘地の売買を手掛ける不動産会社に勤務しており多くの物件の売買に携わってきました。
移住後も新たに不動産会社で仕事をしていますが、「土地を購入する前にここに気を付けて!」とお伝えしたいことがあります。買ってから後悔しないためにも、この記事では、「気を付けるべきポイント」について解説していきます。
これから地方移住を検討していて、土地を探している方の参考になれば嬉しく思います。
こんな土地は要注意!気を付けるべき5つのポイント
- 激安物件
- 地目変更不可物件
- 未整地物件
- 心理的瑕疵物件
- インフラ未整備物件
いかにも難がありそうな感じが漂う5つの項目を上げましたが、このポイントをはずすと、
土地取得、あるいは建物完成
までの期間が大幅に伸びてしまったり、予想外に金銭が増えたりするのです。
激安物件
安く手にはいるなら、それでいいような気がするけど・・・・・
確かに安いに越したことはありません。
が!経験上言えることは、大半の激安物件には理由がある、ということです。
例えば
- 残置物が多い → 撤去に100万単位でお金がかかることも!
- 変形土地 → 建物を建てるときにシンプルなものよりもお金がかかる!
- ご近所さんに難あり → 近くにゴミ屋敷があったり、お隣さんが常識を超えてうるさいなど!
- 心理的瑕疵 → いわゆる事故物件。ご近所さんが事故物件の場合も!
- 以前、災害に見舞われたことがある → 河川の氾濫や土砂災害、火災などの経歴がある!
- 場所が辺鄙 → 生活の利便性が極端に悪く、ポツンと一軒家である!
- 隣が墓地や火葬場 → 生活に影響が出るとは思いませんが、心理的な部分で激安になることも!
3年程前、とある山奥の物件を10万円で売買したことがありました。
電気だけかろうじて通っていたもののトイレは汲み取り、水道は近くの沢へ汲みに行く、という物件です。
購入者は若い女性。
これからのことを考えたらあまりお勧めしたくなかった物件なのですが、
安いし、自分は元気だから不便でも大丈夫。と購入に至りました。
しかし、結局建物が傷みが激しく、セルフリフォームも出来ず、また水の確保も想像以上に大変すぎて、結局購入したもののほとんど住むこともなく、訪れることもなくなってしまったのです。
購入時は「人里離れていて、環境にも優しい理想的な暮らしができる」と感じていたのかもしれませんが、実際に暮らすのは無理だったようです。
この女性のように「現時点」だけの状況で判断してしまうと、その先に後悔することになり兼ねません。
激安物件の場合は特に、激安の理由、その物件の状況、自分が思い描いている暮らしにするために必要になってくる作業などを、しっかり検証してから購入の判断することをお勧めします。
地目変更不可物件
不動産売買の際に必ず見てほしいのが、「地目」です。
地目とは土地の現状や利用目的などを考慮して定められた、土地の用途のことです。宅地、田、畑、雑種地、山林、などが割とよく見かける地目になります。
この中でも地目が「田・畑」となっている土地は注意が必要です。
なぜなら、住宅を建築しようとしても農地法による制限がかかっている場合があるからです。農業地区区域内であれば、まず農地から宅地への変更はできません。
それ以外の農地であっても、まず農業委員会に地目変更の申請をし、許可が必要になります。
こういう土地の場合は不動産仲介業者を通して、その土地を管轄している農業委員会に相談するのが良いでしょう。荒廃地になっていて、この先農業が難しい土地であると判断された場合や、農業振興地域外の場合は宅地への地目変更が可能になることもあります。
申請→審査→許可までに時間を要することがあるため、すぐに建築に取り掛かりたい場合などには間に合わない場合があります。
未整地物件
未整地物件で注意しなければならない点は、
- 樹木が生い茂っている場合、伐採・伐根費用で100万超えの場合もある
- 地下に巨石や廃棄物が埋設されている場合がある
ということです。
例えば、山林を別荘地として売りに出している場合などに多いケースです。
売主側が伐採・伐根・整地している場合は、その費用も売価に反映されてくるため、激安で売りに出されることはまずないでしょう。未整地の激安物件の場合は、
購入後の整地に費用が掛かるため、その分を見越して安くしている
というわけなのです。
未整地物件の購入を検討する場合は、合わせて土木業者から伐採・伐根の見積もりを取ることをお勧めします。
心理的瑕疵物件
いわゆる「事故物件」と呼ばれている物件です。心理的瑕疵については令和3年10月に国土交通省からガイドラインが発表されています。
心理的瑕疵については、気にしない方もいますが、所有者や仲介業者には「知りうる限りの告知義務」がありますので内見の時などに聞いてみると良いでしょう。
(ただし、ご病気などで孤独死した場合などは心理的瑕疵には含まれないこともあります。)
これは、私の場合なのですが・・・・・・
土地には「相性」があります。
現地を見に行って、なにかゾワゾワしたりフワフワしたり、妙に暗く感じるなどの場所はお勧めしません。
そのような感覚があった場所は、相性の良くない場所かもしれません。ちょっとスピリチュアル的な意見かもしれませんが、土地価格に惑わされることなく、ご自身の感覚を大切にしてください。
インフラ未整備物件
ここで注意したいのが、生活に欠かせないインフラ整備です。
中には、電気は太陽光を使った自家発電、水は山から引き込み、トイレはバイオトイレを設置、
といった方もいますが、それは少数派で大多数の方は、もっと便利な生活を望んでいるはずです。激安物件にはそういった生活に欠かせないインフラが整っていないものが多くあります。
インフラで確認しておくべきことは、
- 近くまで送電線が来ているか
- 前面道路に上下水道の本管があるか
ということです。
こういったインフラが整っていない場合、買主が購入後に整備することになるため、それを見越して安く売りに出ている可能性があります。
電気の日君は、地元の電気工事会社を通し電力会社がやってくれますが、電気工事会社によって金額が違うようです。10万前後かかる場合もあるようなので確認が必要です。
水道に関しては、場所によってかなり差が出るのではないでしょうか。
自治体によって違いがはありますが、新たに水道を引く場合、水道加入金(権利金・負担金)が必要になります。水道メーターの口径によってですが数万円~数十万円がかかることも!
この他にも本管から敷地内への引き込み工事代が必要です。本管が離れていれば、その分工事費が多くかかることになります。場所によっては引き込みができない場合もあるので、事前に確認する必要があります。
別荘地などの場合は勝手が違っていて、別荘地の管理組合で水道を管理しています。水道加入金が100万を超える場合もあるので事前に確認するようにしてください。
まとめ
地方移住だけにかかわらず、土地を購入し理想の家を建てるということは、ほとんどの人にとっては一生に一度あるかないか、という一大イベントになります。土地を購入してみてから
こんなはずじゃなかった!!!
とならないためにも下調べは重要です。
不動産売買契約時には「重要事項説明書」という土地や建物に関しての法令、条例、土壌汚染や建物も状態などを説明する書類があります。しかしその重要事項説明書の説明を受けるときは、契約と同じ日ということもあります。
いざ、というときになって、慌てないように事前に確認しておくべきことをおさらいしておきましょう!
- 激安物件には理由がある!その理由をしっかり聞いておく
- 田・畑は住宅が建てられない場合もある!事前に農業委員会に確認する!
- 未整地物件は予想外の費用が掛かる場合もある!
- 心理的瑕疵物件は告知義務のある所有者、仲介業者に聞く!
- インフラ未整備物件は予想外の費用がかかることがある!
その日になってから「あれあれ、話が違うんですけど」とならないためにも、気にあることがあれば、事前に仲介業者に確認しておくことが大切です。
念願のライフスタイルをかなえるために、少しでもこの記事が役立ってくれたら嬉しく思います。
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